いきなりですが、アメリカ人は残業すると思いますか?
「定時で帰宅する」「フレキシブルな勤務時間」「残業なし」など、
アメリカでは、働く人の判断で勤務時間を決めて
自由に出勤するイメージでしょうか?
実は、私がアメリカ人の主人に出会うまでは、
アメリカ人は残業とは無縁で定時になったら「また明日!」と
オフィスをあとにするものだと思っていました。
主人はアメリカの企業で働いていますが、
10年間日本に駐在派遣されて技術者として日本人と一緒に働いていました。
「アメリカ人の労働時間は日本人より長いのか、短いのか知りたい」
「アメリカのエグゼクティブは、早起きって言うけど本当なの?」
「アメリカ人は決められた労働時間以外の残業はするの?しないの?」
など、今日はアメリカ人の労働時間や仕事に対する考え方に迫っていきたと思います!
将来、アメリカ企業に就職したいと考えている方、
アメリカで働いてみたいけど労働時間が知りたいという方、
参考にしてみてくださいね!
アメリカ人の年間労働時間は?
2017年度の「世界労働時間国別ランキング」(OECD経済協力開発機構)の
調査結果が出ていましたのでご紹介しますね。
アメリカと日本はどちらが「年間の労働時間」が長いと思いますか?
2017年度の調査結果は、
アメリカが世界で15位:1,780時間
日本が世界で22位 :1,710時間
アメリカ人の方が年間の労働時間が日本人より長かったのです!
日本人の方が長時間労働をしている印象があるのですが、
統計で見るとアメリカ人の方が年間の労働時間が多いのですね。
「なぜ、アメリカ人は労働時間が長くなるのか」についてですが、
まず「残業する人が多くいる」と言われています。
アメリカの労働時間の規制(法定労働時間)ですが、
FLSA(厚生労働基準法)では、「1週40時間(週5日として一日あたり8時間)」と定めていますが、
一方で「この時間を超える労働に対して(一日8時間を超えて12時間以内)
通常の賃金の1.5倍以上の率で賃金を支払われる場合はこの限りではない」と定めています。
ちなみに第1位はどこの国だと思いますか?
メキシコで2,257時間とのことです。
なぜアメリカ人は残業するのか?
アメリカ人は、する人はガッツリと残業します。
「リモートワーク」ができる環境があることが
残業するひとつの理由だと言われています。
「リモートワーク」とは会社(オフィス)にいなくても
仕事することが可能な働き方を言います。
私の主人(アメリカ人)の実際の労働時間をご紹介すると
日本にいたときの勤務時間(一応午前8時~午後5時までという規定)
(基本的に仕事のトラブルが起きない限り完全週休2日)
・4:30am 起床
・4:40am-5:45am メールチェックおよびアメリカとのテレコン(電話会議)
・5:45am-6:20am シャワーと身支度
・6:30am 家を出る
・7:20am 職場に到着、就業スタート
基本は午前8時から午後5時までの8時間勤務ですが、
実際は定時午後5時に職場を出るのは、家庭の用事があるときだけで、
平均すると帰宅時間は20時~21時でした。
もちろん遅いときは終電ということも頻繁にありました。
主人自身がこのタイムスケジュールに対しての
選択の余地がありませんでした。
その大きな理由は、日本とアメリカとの時差が14時間あるので
アメリカとテレコン(電話会議)やリアルタイムで
メールのやり取りをするとなると、日本にいる主人自身が
朝早くからもしくは夜遅くまで仕事をするしか
相手(アメリカ)との時間が合わなかったからなんですよね。
アメリカに帰国してリモートワークをしている現在(自宅のひと部屋をオフィスにする)
(勤務している企業は同じ、肩書レベルがワンランク上がりました)
・7:00am 起床
・7:00~7:30am 子供のスクールの見送り
・7:30am~8:00pm 自宅オフィスで仕事
(テレコン、プレゼン、レポート作成、
アメリカ国内のあらゆる場所にいる部下たちの労働管理、現場の問題解決)
昼食は全て自宅オフィスに私がデリバリーしていますよ!出前ですね。
「それだけ仕事していたら、お給料いいでしょ?高年収でしょ?」
って、聞かれますが・・・「年俸制」なんです。
主人は「ホワイトカラーエグゼンプション」なので、
残業代は出ないのです・・・
表向きは一日8時間の労働時間ということになっていますが、
実際は一日12時間労働をしています。
アメリカでは労働者は「エグゼンプト」と「ノン・エグゼンプト」に分かれます。
「エグゼンプト」とは月給従業員(年俸制)のこと。
「ノン・エグゼンプト」とは時給従業員のことです。
企業はエグゼンプト労働者に対して、
残業代の支払いが免除されているのです。
逆にノン・エグゼンプト労働者が週40時間を超えた労働をした場合は、
一時間あたり5割増しの対価がもらえます。
アメリカ企業の従業員の大半は「ノン・エグゼンプト」として雇用されているそうです。
その理由は、エグゼンプトになるためには条件があります。
①就労の内容(専門職、管理職以上であること)
②給与(年間$23,600以上が基準)1ドル100円として年間236万円ということになりますが、
エグゼンプト労働者はこの金額よりも実際は高収入であると言われています。(年間500万円以上)
エグゼンプト労働者は管理職、専門職であり自宅や外出先で仕事をして、
残業や休日出勤もあるため労働時間が長くなるのでしょうね。
アメリカ人の主人に「一日に12時間も仕事をしなければいけない理由は何か?」と直撃したところ、
「会社は人を減らしても、生産性は今のレベルをキープするか、
それ以上をマネジメント(管理職)する人に求めてくるから。
人が減るのに、やる事は同じ量かそれ以上。
誰がやるか?エグゼンプトの自分しかいない。」
との回答でした。
もちろん仕事量と年俸が見合わないと、専門職だと手に職があり、
その専門分野の修士を持っているので転職する人もいるそうです。
アメリカ人が「パワーブレックファースト」と呼ぶものは一体何?!
American Community Surveyの調査によると、
アメリカ人の33.4%の労働者が午前7時~8:15には勤務を開始している
という結果が出ています。
みなさんの会社ではミーティングは何時から始まりますか?
昔の話ですが、私の友人の会社では、
営業会議は夜の10時からと言っていました。
外回りの営業さんが帰社して、全員が揃う時間となると、
どうしても夜になってしまうとのことでした。
そうすると帰宅は夜中になってしまうので、
会議の日は朝から気が重いと・・・
さて、アメリカ人は夜にミーティング、
仕事終わりに飲み会というのはあまり実施しません。
理由としては、みなさんもご存知だと思いますが
アメリカ人は家族の時間を大切にするので、
仕事が終わったら家に帰る人が多いのです。
ではいつミーティングをしているか、というと
朝食を食べながらの「ブレックファーストミーティング」なんです。
アメリカ人は「パワーブレックファースト」と呼んでいるそうです。
朝7時~8時にスタートするのですが、そのメリットとしては
①朝の時間を有効的に使える(朝食を食べずにバタバタと出勤ということがない)
②ミーティングに集中できる(昼間だと急な用事や電話が入り会議に集中できないことがある)
③朝はスッキリと頭が冴えているため、新しいアイデアが浮かびやすい
④日光を浴びることは、心身ともによい影響がある(うつ病の予防)
⑤夜のミーティングだと時間が長引きやすい傾向があるが、朝のミーティングだとその日の予定がすでに組まれているため、時間を延長できない
現実は、パワーブレックファーストに参加する前から
すでに仕事をスタートしているアメリカ人が多いと思います。
朝は4時~5時に起床して、メールチェック後はジムで一汗かいて
シャワーをして身支度する、という流れです。
私のご近所さんの多くは、平日は遅くても
夜10時には消灯時間のようで家の電気が消えます。
朝は4時~5時にかけて電気が点き始めます。
そして朝7時には車で出勤していくご近所さんがほとんどです。
もちろん午後5時過ぎには帰宅されています。
私の住んでいるところでは、朝の道路渋滞は7:30~8:00、
夕方は5:00がピークなので、やはり勤務時間は
8時~17時が多いのだと感じています。
まとめ
お恥ずかしい話、主人がホワイトカラーエグゼンプションだということを知らず、
今回の記事を書きながら主人と残業の話になった際に
「えっ???!!!残業代出てないの?」という話になりました。
すでに決まっている年俸額を24回
(アメリカは月2回で給与を受け取る企業が多いです)
に分けているのだとか。
「残業代でないなら、さっさと切り上げちゃえ」と思うのですが、
やはり管理職として企業の看板を一部背負っているという自覚があるらしく、
残業していることをものすごくネガティブに捉えているわけではないようです。
現在、主人はリモートワークなので、
誰も見ていない自宅で仕事をしなければいけないのは、
仕事に対するモチベーションをキープし
集中するのが難しいとのことです。
私がリモートワークしたら、
仕事の合間にネットサーフィンしちゃいそうだな・・
と思いました。